なぜプリプレグは加熱すると「流れる」のか?
― 「固いシート」が、積層時には動く材料になる理由 ―
プリプレグは見た目にはシート状の材料ですが、積層工程では樹脂が流れます。なぜ流れる必要があり、流れすぎると何が困るのでしょうか。今回は、プリプレグの「樹脂が動く」という性質を、積層工程の視点から見ていきます。
1.プリプレグは最初から完全に硬化しているわけではない
プリプレグには、加熱・加圧したときに樹脂が軟化して流動し、その後に硬化していく段階があります。いわゆるBステージの材料として扱われることが、積層工程で重要なポイントです。
プリプレグ→加熱→樹脂が軟化・流動→硬化→絶縁層
2.なぜ「流れる」必要があるのか?
多層PCBでは、銅箔や内層回路の凹凸があります。樹脂が適切に流動することで、その隙間を埋めながら絶縁層を形成できます。流れなければ、回路の凹凸を十分に埋められません。
3.では、流れれば流れるほど良いのか?
そうではありません。樹脂が流れすぎれば、場所によって樹脂量や厚さが変わったり、設計した絶縁層厚さから外れたりする可能性があります。積層では「流れること」と「流れ方を管理すること」の両方が重要です。
| 見る要素 | なぜ重要か | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 樹 | 脂 | 粘 | 度 | ||||||
| 加 | 熱 | 時 | の | 流 | れ | 方 | に | 影 | 響 |
4.ここで「樹脂含有率」の話につながる
前の記事で見た樹脂含有率は、単なる数字ではありません。どれだけ樹脂があるかは、積層時の流動や、最終的な絶縁層の特性を考える上でも重要です。
5.材料メーカーは「流れやすさ」だけを設計しているのではない
実際の材料設計では、流動性だけでなく、硬化性、電気特性、機械特性、寸法安定性などを同時に成立させる必要があります。だからこそ、材料の「一つの性能」だけを見ても全体像は見えてきません。
まとめ
- プリプレグは積層時に樹脂が軟化・流動し、その後硬化する材料。
- 流れることは必要だが、流れすぎないことも重要。
- 樹脂含有率、ガラスクロス、積層条件をセットで見ると理解しやすい。
平賀兼好の徒然メモ
電子材料は、カタログの数字だけを見ると単純に見えます。しかし実際には、材料・工程・回路・用途がつながっています。「なぜその性能が必要なのか」まで追うと、別々に見えていた話が一本の線になります。
電子材料は、カタログの数字だけを見ると単純に見えます。しかし実際には、材料・工程・回路・用途がつながっています。「なぜその性能が必要なのか」まで追うと、別々に見えていた話が一本の線になります。